灘高校 2017年度入試問題(英語) 第6問(続き)
2017年度入試問題(英語) 第6問
I could hardly sleep last night, ( ) him snoring horribly the whole night.
ア. and イ. in ウ. while エ. with
この問題で 「 ウ. while」を入れて
I could hardly sleep last night, while him snoring horribly the whole night.
としていいか、という問題です。
この問題を解く前提として、分詞構文の知識が不可欠です。ここで、分詞構文とは、分詞で始まる語句が、文全体を修飾し、副詞の働きをするものです。
ex. I stayed in bed,reading a book.(私は本を読みながらベッドにいた。)
分詞構文は、意味を明らかにするため「接続詞+分詞構文」の形をとることができます。
ex. He broke his leg while playing soccer.(彼はサッカーをしていて足を骨折した。)
分詞の前に意味上の主語(分詞が表す動作・状態の主体)を置いたものを独立分詞構文と言います。
ex. All things considered, you should not take the risk.(すべてを考慮に入れると、危険を冒すべきではない)
そうなると本問の論点は、「独立分詞構文の意味上の主語は主格に限られるか?目的格でも許されるか?」という問題になります。
動名詞の場合、意味上の主語を表すには「所有格」または「目的格」が用いられます。
ex.I can't imagine my father's singing in. front of others.(私は父が人前で歌うのが想像できない。〈所有格〉)
ex.Do you mind me sitting here?(私がここに座っても構いませんか?〈目的格〉)
これに対して、独立分詞構文の場合、文法書をみても明確な記述がありませんでした。ただ、分詞構文は「接続詞と主語を省略」する構文なんだから、「主格」を意味上の主語にするのが理論的でしょう。本問では"him(目的格)"を用いているのでウの"while"は不正解となります。
では、仮に
I could hardly sleep last night, while he snoring horribly the whole night.
という英文は文法的に問題がないだろうか?
結論は、そもそも"it"以外の人称代名詞を独立分詞構文の意味上の主語にするのは許されないので、主格を用いたとしても誤りになります。
とまあ、長々と説明しましたが、こんな文法知識を中学生が知っているとは思えません!!もちろん大学入試レベルの文法問題集(Next Stageには書いてあった)を解いていればこの問題を「知識」として解けるでしょう。しかし、実際に受験生がこの問題を解いたときの正誤の判断は、ウを入れた文
I could hardly sleep last night, while him snoring horribly the whole night.
に対する違和感だと思います。そして、この文に違和感を感じるためには、高校レベルの英文をたくさん読んで英文に対する勘を養うことが大事なのではないかと思います。