WARIKIRI英語クロニクル

英検1級・TOEIC960のihissangが東大・京大・灘高校の入試問題をひたすら解きます。単語レベルはアルクのSVL(究極の英単語)を基準にしています。

京大 2014年度入試問題(英語) 第1問

 

年度 問題 内容 ジャンル 単語数 語彙レベル readability 難易度
95% 97% AVR ARI CLI
2014年 第1問 哲学者の仕事 論説文 哲学・倫理学 532 5,000 7,000 1.9 10.5 10.9 B+

※単語数は空欄を補充して文章を完成させたときの単語数。語彙レベルのAVRは、アルクのSVLを基準に、当該長文に出てきた総単語の平均レベル。95%、97%とあるのは長文中の全ての単語を難易度順に並べたときに、簡単な単語から95%の単語レベルと、97%の単語レベルを示しています。つまり、本問では、SVLで5000語レベルであれば、この長文の95%の単語を知っていたことを意味します。readabilityは、ネットで文章の難易度を測定できるサイトがあったので測定しました。難易度は実際に英文を読んで、ihissangの独断できめました。簡単な順に、AA→A→B→B+→C→D。過去50年分を相対的に判断したいので、難易度評価は後で変わるかもしれません。

 

paragraph 1

とりあえずざっと読む。難しい。哲学の話はわけわからんから勘弁してほしい。

Chemists typically get by with only a rudimentary knowledge of the history of chemistry, picked up along the way…

[ihissangの訳]

化学者は大体、これまでに得られたほんの初歩的な化学史の知識でなんとかしてきたのだ。」

’picked up along the way’がよくわからなかった。along the wayは「途中に」「これまでずっと」。途中にで拾った?なんの途中?25年は「研究途上」って訳しているけど、そこまで限定しているのかなあ??along the wayは、during a process or experience, or during someone’s life’だから、おおざっぱに「これまで得られた」としました。

[チート]

typically:①典型的な、②一般的に(ここでは②の意味)

get by with(on,in):切り抜ける、なんとかうまくやる( to manage to live or do a particular thing using the money, knowledge, equipment, etc. that you have )

ex) How does she get by on such a small salary?

◇rudimentary :基本の、初歩の(基礎的だが原始的で未発達のもの,不完全なものに対して使う)

ex)They were given only rudimentary training in the job.

 

 the history of philosophy is in large measure the history of very smart people making very tempting mistakes…

[ihissangの訳]

「哲学の歴史では、賢人がとても魅力的な過ちを犯したのがほとんどである。」

正直何を言いたいのかわかりませんでした。tempting mistakesが意味不明なんです。

25年では、「つい引っかかる間違い」と訳してる。「賢人でもついつい過ちを犯すのが哲学の歴史なんですよ。だからおれたち凡人が同じ間違いをしないように哲学の歴史を学ぶんですよ。」ってことですね。なるほど。それはそれでわかり易い。辞書でtemptingを引くと、'something that is tempting is attractive, and makes people want to have it, do it, etc'とありました。tempting mistakesは「(魅力的なので)飛びつきたくなるような間違い、思わずしてしまう間違い」という意味なんでしょう。

 

で、設問登場。

(1)That's why we teach the history of the field to our students, and scientists who cheerfully ignore philosophy do so at their own risk. There is no such thing as philosophy-free science, just science that has been conducted without any consideration of its underlying assumptions.

[ihissangの訳]

(1)そういうわけで哲学者は学生に哲学史を教え、陽気にも哲学を無視する科学者は、みずからの危険において、哲学を無視するのである。哲学と無関係な科学(基礎となる仮説を無視してなされるてきた科学)は存在しないのである

 

just以下が難しい。同格と考えて括弧書きにした。25年では"no A just B"(AはなくただB)と考えて、下線部を「そういうわけで、われわれは哲学の歴史を学生たちに教え、哲学をのんきに無視する科学者は、自己責任でそうするのだ。哲学のない科学と言ったものなど存在しないのであって、あるのはただ、その根底にある前提をなんら考察することなく行われてきた科学なのだ。」と訳してる。この訳だと前半は問題ないにしても、後半部分が意味不明です

 

 ちょっと論理関係を整理すると‥

A: なんで哲学者は哲学の歴史を学ぶの?

B: 偉大な大先輩が犯した過ちを学んで同じ過ちをしないためだよ。だから哲学を無視する科学者はあほです。

A: なんであほなん?

B: だって、哲学と科学は無関係ちがうし。

A: どう関係あるの?

B: 要するにな、科学っていうのは相対性理論とか進化論とかビッグバン理論みたいな基礎となる仮説の上に成り立つわけよ。だから、科学ってのは前提となる理論を無視しては成立しないわけね。

A:  要するになってないねんけど。

B: だから、要するに哲学のない科学ってのは、いわば前提となる仮説を無視した科学ってことよ。

A: ??あほにもわかるように説明してよ。

B: だ・か・ら、要するに、歴史的には科学は哲学の一派で、科学の根本に哲学があるわけよ。ほんなら、哲学のない科学ってのは、根本を無視してることになるやん。だから、哲学のない科学ってのは、前提となる仮説を無視した科学になるやろ。

A: それで何が言いたいの?

B:  just science以下がphilosophy-free scienceの同格って言いたいだけです。

A: お前話が長いねん。